024.無期雇用契約への転換?!

Q: 店長です。インターネットを見ていたときに「無期転換」というキーワードが気になったので調べてみたら、アルバイトの契約がちょっと変わるかもしれない、ということですよね…これについて聞かれたら、どう答えればいいでしょうか?

A: 皆さんの店舗で最も長く働いているスタッフは何年でしょうか。そして、その方の雇用契約は、正社員でしょうか?アルバイトでしょうか?
「有期契約労働者」、つまりアルバイトやパート、契約社員など、呼び方はさまざまですが、1年や半年など、期間の定めがある雇用契約に基づいて働く人を総称してこう呼びます。コンビニエンスストアではたくさんのスタッフが働いていますが、そのほとんどが有期契約労働者となります。
これらの方の「無期雇用転換ルール」という制度が少しずつ、本格的に始まっているのです…。

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少しだけ、法律の話をします。平成25年4月1日に、労働契約法という法律が改正され、今回の無期転換ルールができました。この日以降に一定の条件を満たしたスタッフには「無期転換申込」の権利が得られ、その後「無期転換したい」と言って来た場合には、期間の定めのない雇用契約を結び直さなければなりません。
この狙いは、「長く働いてくれているスタッフの安定した雇用/勤務の実現」。スタッフ側からすると、1年間や半年で契約が終わってしまうかもしれない…という不安から解消され、店舗にとっては、安定的に戦力として活躍してくれるスタッフがいる安心感も得られますよ、というものです。
皆さんの店舗では、もしかしたらすでに無期転換と同じような状況にあるスタッフもいるかもしれません。それはもちろんいいことでもありますが、逆に、雇用契約がなあなあになってしまっているところは要注意です。中には、最初だけ1年とか半年の契約を結んで、その後契約更新をすべきところまったくなされていない店舗も見かけますが、これは、実質無期雇用契約と同じ状態とみなされることもあります。その状態で何かスタッフとトラブルになって「うちは1年契約だから、もう今回で更新はしない!」と言っても、その契約は何の効力も持たなくなってしまうでしょう。

【無期雇用転換ルールの3要件】
では、この無期雇用転換ルールの条件を見ていきます。次の要件をすべて満たしたスタッフは「無期転換申込」の権利が得られることになります。

① 有期雇用契約の通算期間が5年を超えている
まず定義をお話しすると、「同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超えていること」が要件となります。例えば、多くの店舗では雇用契約を1年間で結んでいるかと思いますが、その場合は、5回の契約更新が終わったタイミングと同時に、「無期転換申込権」が発生することになります。
もし、1年を超える場合、例えば3年間の雇用契約を結んだ場合には、次も3年で更新をした際通算6年となるので、4年目で「無期転換申込権」が発生することになります。

② 契約の更新回数が1回以上
平成25年以降で雇用の更新が1回以上行われているかどうか、ということです。これは、比較的わかりやすいかと思います。コンビニエンスストアスタッフの契約については、最高でも3年と法律で決められています。契約の通算期間が5年を超えるという①の条件を踏まえたときに、3年ごとの契約であれば、更新回数は一番少なくて1回になる、というのがその理由です。契約が1年の場合は、5回契約を更新していることになります。

③ 現時点で同一の雇用主との間で契約している
これが最後の条件ですが、通算5年を超えて契約をしてきた使用者(店舗)との間で、現在も雇用契約を結んでおり、かつそれが当然ながら有期雇用契約である、というものです。

以上、この3つが揃っているスタッフから「無期雇用契約に転換したい」と言われたら、5年を超えた次の契約更新の段階で無期雇用契約へ転換をしなければなりません。

【無期雇用契約に転換すると何が変わってくるのか?】
では、「無期雇用への転換をするということは、つまり正社員になるということですか?」という質問がよく出てくるのですが、決してそうではありません。結論からいうと、雇用契約が有期から無期になるだけであり、例えばフルタイムの正社員になる、とか正社員が担うような業務をさせなければならない、時給を月給にしなければならない、ということではありません。9:00〜13:00のシフトで勤務しているスタッフが要件を満たして無期雇用転換された場合でも、このシフトが変わるわけではないため(もちろん変わっても良いのですが)、まずはこれまで通りの業務を担ってもらうと良いでしょう。もちろん、スタッフのキャリアアップを図るという観点で、より責任ある仕事を担当してもらえるようになったら、店舗にとってプラスになるのは間違いありません。

【参考サイト:厚生労働省 有期契約労働者の無期転換ポータルサイト】
http://muki.mhlw.go.jp

023.固定残業代導入の注意点とは?

Q:店長です。現在勤務している社員スタッフの残業管理の一環として、一定時間の残業代を加味した固定給を払いたいと思っています。この場合の注意点について教えてください。

A:いわゆる「固定残業代」制度は、何時間分でいくらの残業代を加味するのかをスタッフに明示すること、適切に勤務時間を管理し、設定した時間を超えた残業については残業代を別途支払う必要があります。

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<解説>
政府が推し進める「働き方改革」の一環として、適法でない残業に対する見方が厳しくなっています。それと並行して、「残業代未払い」の問題が後を絶ちません。意図の有無にかかわらず、残業代が適切に支払われていないことによるトラブルです。

コンビニエンスストアの場合、ストコンの給与システムを使用していて時間給で勤務をしているスタッフについては、1日8時間、週40時間を超えた場合に残業代が自動計算される仕組みです。しかし、社員など固定給設定のスタッフについてはその仕組みがカバーしきれていない現状があります。そのため、予備知識がないと、本当は残業しているのに計算がされず、結果、残業代が支払われなかった…ということが起こってしまうのです。

そうした中で、一定時間までの残業を「固定残業代」という形でカバーし、その残業が発生する・しないにかかわらず一定額を支払う、という手法が増えてきています。私も社会保険労務士としてアドバイスをすることがありますが、これを正しく行うこと自体は違法ではないとされています。ただし、やり方を間違えると、違法になるだけでなくトラブルに発展する可能性もあります。今回は残業の概念と固定残業代の設定、運用方法のポイントを見ていきます。

 

【残業とは】

まず、残業という言葉がよく使われますが、正式には「時間外労働」と言われます。決められた勤務時間よりも早く働き始める、あるいは就業時刻を超えて働くこと、どちらも時間外労働です。コンビニエンスストアは24時間営業の店舗も多いので、どちらも発生する可能性があります。

では、時間外労働はすべて1.25倍以上の給料になるのか、というと、必ずしもそうとは言えません。通常であれば1日8時間、1週40時間を超えた場合に1.25倍で計算します。また、変形労働時間制という特殊な労働時間管理を行う場合はあらかじめ決められたシフトの勤務時間で働いて週で40時間を超えた場合に1.25倍となります。この時に固定給対象者の場合は時給単価に直して、その1.25倍を計算することになります。

 

【固定残業代の設定】

ただ、コンビニエンスストアは本部より1分単位の勤務時間計算を推奨されていることもあって、1分超えた場合の計算は非常に大変です。こと、固定給を支払う場合には、1時間の時給単価に換算し、かつ1分単位で計算を行うので、専門家を頼らないと対応できないケースもあります。そうしたときに固定残業代制度を導入することで、残業が一定の時間に達するまで細かい計算をする必要がなくなります。この手法は、一定時間の残業がほぼ毎月の単位で発生しているような働き方をしているスタッフがいるところではとても有効です。

ただ、気をつけたいことがあります。それは、一定の時間が何時間で、それに価する残業代がいくらなのかを事前に決めて、スタッフへ周知をはかり、かつ雇用契約書(労働条件通知書)などにも明記しておかなければ、それ自体が無効になってしまうことです。仮に、月の所定労働時間が174時間の場合、「基本給 190,000円 固定残業代(30時間)41,000円」というように、時間数と残業代を明記し、スタッフ本人に知らせる必要があります。当然ながら一定時間を超えて残業した場合には、通常の残業代計算が必要になりますので、毎回決めた時間を超えて働くスタッフが多い場合は、あまり意味を持ちません。

 

【固定で払えば何時間に設定してもいいの?】

これは、月であれば通常「45時間」が上限です。もちろん、36協定(時間外、休日出勤を行えるようにする協定)を出しておくことが大前提です。特別条項付きの36協定というものにすると、本当に残業せざるを得ない状況の場合は年6回まで45時間を超えて残業することができる、という協定を結ぶことも可能ですが、80時間や100時間に設定した場合、スタッフの健康面への影響はもちろん、労働基準監督署にも注目されやすくなります。社員の場合どうしても残業が長くなりがちですが、60時間を超えて設定をせざるを得ない場合は、まず社会保険労務士など専門家に相談した方がいいでしょう。

 

【安易に採用せず、専門家に相談を】

固定残業代は、一見簡単に導入できそうに見えるかもしれません。しかし、私がコンビニ社労士としてさまざまな店舗の給与実態を見て、正しく導入ができているところはわずかです。たまたまある月で一定時間を超えて残業した場合でも、残業代が別途払われていない、という状況もよく見かけます。導入前には一度専門家に相談して、適法に実施しましょう。