028.1分単位の労働時間管理の実務は?

Q:オーナーです。最近、本部からの話もあり、1分単位の労働時間計算に切り替えました。ですが、出退勤時のスタッフの一挙手一投足が気になります…。実際には、どのように運用すれば良いのでしょうか…。

A:できる限り誤差を縮めるために、店舗内で勤怠登録(出勤・退勤などのスキャン)や残業のルールを作りましょう。 ただし、作るだけでなく、運用ができるように、開始当初はスタッフをフォローすることも重要です。

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<解説>
15分。30分。まず、よく聞くのはこの2つでしょうか…。これらはすべて労働時間管理の単位です。例えば、9時から17時のシフトで、17時14分まで働いた場合、15分単位の労働時間管理だと、17時に修正をする方もいるのではないでしょうか。かくいう私も店舗勤務時代は疑問視することもなく、14分を帳消しにしていました。ですが、これは正確にはダメな労務管理です。なぜかというと、このやり方は14分の勤務時間分の給与が未払いとなってしまうからです。いわゆる、労働基準法という法律の違反行為となってしまうのです。
こうしたことから、現在は店舗での独自判断、あるいは本部からのアドバイスをきっかけに、労働時間管理の設定を1分単位に切り替えた店舗が増えていると聞きます。ですが、この1分単位の労働時間管理、「運用はすごく難しい」と感じているオーナー・店長も多いのではないでしょうか…。

【なぜ難しいと感じるのか】
オーナー・店長からよく聞く声としては、「実際の運用方法がわからない」「仕事を終えて、勤務終了の勤怠登録前に、10分以上スタッフ同士で話をしている光景を見かける。おしゃべりに給料を払うのだと思うと気が気じゃない」などというものがあります。確かに、早く出勤して忘れないよう先に勤怠登録し、そのあとスマホを触っているとか、勤務が終わったあともダラダラ話し込んでいる行為に対して、給与を支払うのは釈然としませんよね…。1分単位の労働時間管理だと、登録された時間そのままに給与確定の処理をすることで、すべて給与に反映されてしまうのですから、これはなんとか対策を立てたいところ。では、実際にどのように対応すれば良いのでしょうか。

【店舗内で勤怠登録に関するルールを作ろう!】
①全体的な運用方法
大きくは2つに分けられます。一つは「スタッフによって登録された勤怠をすべてそのまま給与に反映させる」、もう一つは「一定のルールを設けて、そのルールから外れるものについては本人に確認のうえ勤怠修正を行う」です。ただ、一つ目の方法はやはり先述の通り、仕事しなくても給与を得られる手段とスタッフに捉えられてしまう可能性があるため、二つ目が一般的ではないかと思います。具体的にどこでルールを設ければいいのかを次に見ていきます。

②勤怠登録のタイミング
ある店舗では登録時間の誤差をできる限り解消するために、出勤した場合は勤務開始の2分前、勤務終了後も2分以内にそれぞれ勤怠登録する、とルール化、明文化しているところがあります。この「2分」部分は、もちろん店舗により幅がありますが、勤務開始/終了時刻からは大きく外れないように、最大でも5分前、5分以内にとどめておいたほうが良いでしょう。

③早出、残業、小休憩の判断方法
コンビニエンスストア店舗では難しい部分もありますが、早出や残業、小休憩(取る場合)をなんらかの方法でスタッフに申告させることを常態化することをお勧めします。具体的には、早出・残業・小休憩の申請書フォーマットを作り、必ずその日帰るまでに書く、ということをルール化します。特に意味のある早出・残業をし、成果につなげてもらうことを前提に考えるのであれば、ノー申告制はアウトです。申告のタイミングも、理想は事前ですが、責任者が24時間365日いるとは限らないため、給与締め日までであれば、事後でもOKとしても良いでしょう。この方法によらない早出や残業、小休憩は、「店舗が早出・残業ではないと確定した」場合に限り、給与へ反映させない(勤怠の修正を行う)ことも検討可能です。

④周知と徹底を忘れずに!
これまでの内容は、一度決めたらしっかりとスタッフ全員で実行できるようにするために、周知をはかりましょう。目的と具体的な方法を記載した案内文書を作成し、必ず開始までに目を通してもらうこと、また、できる限りオーナーや店長から一人一人に直接口頭でも方法を説明するようにします。内容を見るだけでは理解しきれない人も多いためです。また、運用をスタートしたあとも、しばらくはフォローが必要です。早出・残業申請については特に、申請書への書き漏れがないかどうかを呼びかけましょう。

以上、1分単位の労働時間管理の運用方法を見てきましたが、実際は、完璧に厳密に運用することはなかなか難しいのもまた現実です。そのため、今回のことを参考に一定のルールを設け、店舗とスタッフ両方に納得のいく方法で運用をするようにしましょう。

027.LINEで退職連絡!これは有効?

Q:店長です。最近、遅刻や欠勤、中には退職の連絡をLINEで送ってくるスタッフが多く、最初は注意していたのですが、あまりにも件数が多いので店舗スタッフ連絡用のLINEを作って運用しています。しかし、LINEでの退職連絡は有効なのでしょうか…。

A:LINE連絡はルールを作って運用しないと店長が大変になります。また、LINEでの退職連絡も、店長に意思が伝わった時点で有効となります。しかし、必ず一度店舗に来てもらって退職の手続きをとるなど、その後の流れが非常に重要となります。

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<解説>
LINEやTwitter、FacebookでのSNSコミュニケーション(以下、「LINE」にまとめる)経験者が多い現代、プライベートはもちろん、仕事の場にも及んでいるのは周知の事実です。一定のルール下で運用するのであれば有効なツールとなりえますが、一方的であるうえ、顔を突き合わせない分、放った言葉の真意が伝わりにくい点が課題です。
なかには過激な発言、誤解を招く発言によるスタッフ間トラブルが発生したり、遅刻や欠勤、退職の連絡をLINEで送ってくるスタッフがいたり…と、近年は店舗責任者の多くが「LINEの運用に悩んでいる」と嘆いています。今回はその中でも、遅刻や欠勤の連絡をLINEですることの問題点と対策、退職連絡の有効性について見ていきます。

【LINE連絡の問題点と対策とは?】
「すいません、遅刻します」「休みます」。
そのスタッフが出勤する直前に、突然LINEでこのような言葉を受け取った経験がある方もいらっしゃると思います。このLINE連絡の問題点はどこにあるのでしょうか。問題だな、と感じる部分は人によってそれぞれかもしれませんが、私が認識するLINE連絡の問題点を3つ挙げます。

①遅刻、欠勤理由が書かれていない
どのような理由で遅刻するのか、休むのかが、これではまったく伝わってきません。「理由は何?」とLINEで毎回聞くのも店長としては辛いところですね。
②感情が伝わってこない
文字だけがポン!と届くため、そのスタッフの感情や状況が瞬時に理解できません。責任者としては、寝坊なのかすぐに解決し得ない重大な理由によるものなのかで、今後取るべき対策が変わってきますが、もう少し状況を聞き出さないと対策の取りようがありません。それ以上に、簡単に送ってこられているように見えるLINEでのメッセージに、店長は「遅刻や欠勤を軽く考えているのでは」と解釈しがちです。
③見ていない可能性がある
店長やスタッフがリアルタイムでキャッチできればまだしも、LINEは一方的な連絡ツールなので、勤務開始時刻を過ぎて確認することになる場合も考えられます。

まとめると、LINEは文字こそ届きますが、それだけではスタッフの本当の状況がわからないため、店長は電話や対面など、直接会話する以上にこまめなコミュニケーションを要求されることになります。

【うまく運用するにはルールを設けよう!】
LINEでの連絡はダメ!ということであれば、LINEでの連絡を禁止、徹底することが必要ですが、これだけSNSコミュニケーションが当たり前の時代となると、ある程度は容認の姿勢をとって行くことで人間関係の構築・維持がはかりやすくなるようにも思われます。もし、LINE連絡を有効とする場合には、一定のルールを設けて運用したほうが良いでしょう。

①遅刻・欠勤の連絡は理由をつけて、緊急時は電話で
理由があるからこそ、店長も納得して理解を示せるもの。また、就業規則や就業ルールなどでも見られる「理由なき遅刻・欠勤は無断遅刻・無断欠勤とし、処罰の対象となる」を、ここでも有効に活用しましょう。それに加えて、数分で「既読」にならない場合や緊急時には電話で連絡をしてもらうよう取り決めます。
②気持ちを込めてもらう
?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、文字だけのやりとりでも、気持ちを込めることはある程度可能です。顔文字や絵文字を使ってください、という意図ではありません。遅刻することや休むことは、どのような理由があったとしても、店舗に影響を与えることになるもの。それについての気持ちや反省、対策を自分なりに書いてもらうようにするルールを設けてみましょう。
③もちろん、出勤時には直接対話をする
スタッフが出勤してきたときには、改めて今回遅刻、あるいは欠勤した理由や対策などについて報告をさせるようにしましょう。

【LINEでの退職連絡は労務管理上有効か?】
最後に、LINEでの退職連絡が有効かどうか、ということについてですが、これは店長に退職の意思が伝わった時点で「有効」です。退職の意思表示は口頭でも成立するからです。ただ、労務管理の観点からは、LINEで終わらせることなく、退職届を持って必ず一度は店舗に来てもらって、退職の手続きを完結させるようにしましょう。なぜ退職をするのかの理由確認はもちろんですが、貸与していた制服や備品を返却してもらったり、退職日の確認、最終給与の額や渡し方の案内などをしたりする必要があるからです。その観点では、退職連絡にLINEは適さないでしょう。